公務員試験対策について元公務員である私の独断と偏見から書いて行こうと思います。市役所志望であるなら、これで大丈夫だという自負はあります。
公務員試験対策としては、経済学関係の科目を中心に勉強することが、合格への一番の近道であると断言します。
これが私の経験上からの公務員試験対策の結論です。私が実際に受けた市役所の試験では、経済学関係の問題は1問も落としていないと自信を持って言えます。試験の答え合わせは問題が公開されてないのでできないのですが、試験問題を解きながら全ての経済学の問題の解答について、選択肢全てに根拠を持って正解と間違いを指摘できると感じていたほど手応えがありました。
試験中に手応えを感じるいうのは心強いですよね。私は大学時代は経済学部に通っていたので、その面での勉強のし易さというものもあったと思います。
しかし、試験問題の出題数を眺めてみると、公務員試験で経済学を得意科目にすることはとても有利だというのがわかるはずです。このあたりを専門科目、教養科目のデータを見ながら、考えてみたいと思います。
公務員試験の科目毎の出題数に注目!
公務員試験を受けるとなると、公務員になるのだから法律関係の勉強をしなくてはいけないと思っている人も多いのではないでしょうか。もちろん法律科目も公務員試験の出題範囲ですし、実際の仕事でも関係があるので無視できない面はあります。
でも公務員試験の出題範囲全体を俯瞰してみると、ちょっと違う切り口の勉強法も見えてくるのです。
公務員試験対策の専門学校などが科目毎の出題内訳を発表しています。いくつかネットで調べてみましたが、「地方公務員 地方上級公務員試験の出題内訳」についてまとめてみましょう。
自治体によっては特定の科目の知識を集中的に問うような特殊な出題方式を採用しているところがありますが、ここではごく一般的な「全国型」という試験の「出題数」について見ていこうと思います。
公務員試験の教養科目の出題数
一般的な公務員試験での教養試験科目の出題数は以下のようになっています。
出題数の合計は50問です。
出題科目 | 出題数 |
政治・経済 | 8 |
社会・思想 | 5 |
日本史 | 2 |
世界史 | 2 |
地理 | 2 |
文学・芸術 | 0 |
数学 | 1 |
物理 | 1 |
化学 | 2 |
生物 | 1 |
地学 | 1 |
国語 | 0 |
時事・社会事情 | 0 |
文章理解 | 9 |
判断推理 | 6 |
空間把握 | 5 |
数的推理 | 4 |
資料解釈 | 1 |
公務員試験の専門科目の出題数
一般的な公務員試験での専門科目の出題数は以下のようになっています。
出題数の合計は40問です。
出題科目 | 出題数 |
政治学 | 2 |
行政学 | 2 |
憲法 | 4 |
行政法 | 5 |
民法 | 4 |
刑法 | 2 |
労働法 | 2 |
経済学 | 9 |
財政学 | 3 |
経済事情 | 0 |
経済政策 | 0 |
経営学 | 2 |
国際関係学 | 2 |
社会学 | 0 |
社会政策 | 3 |
会計学 | 0 |
公務員試験では経済学関連の科目の出題割合が高い!
公務員試験に限らず資格試験などの教養試験と呼ばれるような科目は、高校で学習するレベルの問題であるのがほとんどです。大学受験を経験した人なら特に対策としての特別な勉強が必要だと感じることは無いと思いますが、その中でも「政治・経済」で8問も出題されているのは注目に値しますよね。
それよりももっと注目してほしいのが、専門科目における経済学の出題数の多さです。合計40問の出題数のうち「経済学」が9問も出題されています。これは公務員試験対策上とても重要なことを示しています。
出題割合にして22%を超える部分を「経済学」が占めているというのは、法律と関わりのある科目が大切ではないかと思われる公務員には少し異なる印象を持つかもしれません。しかし、これは公務員試験の対策としては「経済学」を中心に勉強することが合格の近道だと言える証拠ではないでしょうか。
先ほど、「経済学」の出題割合が22%と述べましたが、実質的にはもっと高いと考えるのが妥当です。
大学で経済学部に通っている人ならわかると思いますが、「財政学」は経済学部では必修科目であることが多いのではないでしょうか。「財政学」を勉強しないはずはないと思います。ですから「財政学」も「経済学」の範囲と言ってもいいはずですよね。実際、財政学で扱う分析道具も経済学を元にしていますし、経済学の中でも財政学の話は出てきます。
その「財政学」が3問出題されます。そうなると、12問となって出題割合のちょうど30%を経済学関係の内容が占めるということになります。
これはかなり大きいと思いませんか? でもそれだけにとどまりませんよ。
もっと広い範囲で見れば、「労働法」の問題も労働経済学の関連知識で解けるものもあるかもしれません。「経営学」も一部「経済学」と重複する分野があります。「国際関係」「社会政策」も国際経済学や厚生経済学・経済政策といった大学で学ぶ分野と重なる部分が多いにあります。
こうしてみると、公務員試験において経済学関連の出題割合は30%を大きく上回る可能性があるわけです。公務員試験で経済学を中心に対策することが合格の近道だということが、よくわかると思います。
公務員試験の教養科目の勉強の仕方
どんな公務員試験も、まず教養科目の出題があるのがほどんとでしょう。そこで教養科目の試験対策の勉強法を述べてみたいと思います。
公務員の採用試験に教養科目しか筆記試験の無い市役所もあります。そういう自治体だけを受験する場合は、教養試験対策のみの問題集を解いたりして勉強するのもありだとは思います。
しかしながら、ほとんどの大学卒業程度の公務員試験は、教養科目と専門科目の両方の試験があるはずです。ですから、教養科目対策のみに必死になってはいけません。
教養科目の試験対策に命を賭けるな!鍵は専門科目
市役所の試験対策をする場合、教養科目について必死に勉強することは、敢えて言うなら時間の無駄です。力を入れるところではありません。これは断言しておきます。力を入れるなと言うと語弊があるかもしれませんが、ウエイトを置くところは明らかに違います。
理由を3つ挙げておきましょう。
大学受験の勉強での知識が役に立つ
まず1つ目。先ほども述べましたが、教養試験のレベルは高校で習う知識レベルだと考えて差し支えないと思います。
もしあなたが大学生であるならば、大学受験の勉強を必死でしたはずです。国立大学ならセンター試験があるので、なおさら多くの科目を勉強したことでしょう。
高校時代に必死で勉強したものは、それほど記憶から消えていないものです。忘れていても、ちょっと勉強するだけですぐに思い出せるようなことが多いでしょう。教養試験が高校レベルの知識なら、全くのゼロから勉強するというものでは無いものがほとんどですから、思い出すために知識を整理すれば良いものがほとんどです。
試験直前の勉強で間に合う科目もある
2つ目。大学受験での勉強の知識のお釣りがあるなら、ある程度試験が迫った頃から対策を始めても間に合います。それに大学受験の問題よりも素直な問題であることが多いので解きやすいです。
数的推理や判断推理などの見慣れない科目もありますが、これはパズルみたいなものです。遊び感覚で勉強できるような内容です。
パターンに慣れれば事足りるものですので、慌てて最初から勉強する必要はありません。その解法パターンも多くはありません。
専門科目の勉強こそが教養試験対策になる
3つ目。これが一番の肝ですね。最初から勉強に力を入れるべきは専門科目です。専門科目を勉強していれば、教養科目の範囲の勉強をかなりの部分兼ねることができます。
例えば、教養科目の「政治・経済」「社会・思想」を見てみましょう。経済分野は、経済学中心に勉強すべきとここで主張していることからわかるように、全く教養科目としての経済は対策をする必要がありません。
政治分野や社会・思想分野を見ても、専門科目の政治学、行政学、憲法、社会政策などの内容と重なりなす。ですから専門科目を勉強していれば、対策の必要はまずありません。
このように、専門科目対策の勉強をしていれば教養試験の対策はほぼ出来てしまうのです。
市役所公務員試験を受験するライバルはどんな人?
公務員試験の教養科目には、理系科目なんかもありますね。文系人間は、ちょっと頭痛がしましたか?
でも、市役所の行政事務職の試験を受ける人って、まず文系の人が多いでしょ? となると、数学や物理や化学って苦手な人も多いはず。でもそういう科目の出題数自体は少ないですよね。だからそんなに力を入れなくても、難しい問題ならライバルたちもどうせ解けないと思った方がいい面もありますよね。
ただ、その少ない問題数を確実に落とさないという考えもあることは尊重します。どんな問題がこれまで出たのか、一通りポイントを押さえるくらいはやっておいてもいいと思います。
理系の人が受験してたらそこで負けてしまうじゃないか! と感じる人もいると思います。今度は立場を逆に考えてみましょう。教養試験の少ない理系科目の問題が得意でも、圧倒的に理系とは縁の遠い憲法だとか政治学といった科目を勉強しなくてはいけないのです。この点は理系の人は苦労するところでもあるわけです。
ただし、経済学には理系的な思考を求められる問題や数学を使う問題もありますので、その点ではコツをつかむ人もいると思います。ただ、市役所レベルではそれほど数学を意識しないといけないような問題のレベルでは無いですね。
まあ、理系の人はやはり行政職よりも技術職を受ける人の方が多いはずですよ。
まとめ
公務員試験対策で経済学の知識が圧倒的に重要だということは以上の説明で理解できたと思います。
私も出題数の多い経済学の科目を得意としていたからこそ市役所の試験を突破できたと考えています。ぜひ経済学を捨てることなく試験対策に臨んていただきたいと思います。
もちろん、経済学を捨てて他の科目で突破するという試験対策もあるとは思います。どちらを選ぶかはあなた次第です。
教養科目の試験対策は専門科目を勉強すれば多くを兼ねることができること、そして、ある程度試験が迫ってからでも対策できるものが多いということを念頭に置いて試験勉強のスケジュールを組んでみてください。
さて、次は何について書くかな?
元小役人はこう言った。