私が勤めていた市役所の経験ではあるのですが、事務用品を買った時の支払い事務で奇妙に思ったことがあります。日付の改ざんが前提となっている事務処理だったりするのですが、これって私が勤めていた市役所だけの話なのか、他のところもそうなのかはわかりません。
ただ、お金を誤魔化している訳ではないので、使い道が批判されることは無い処理ですので、そういう意味では闇はありあせん。
でも、こんな無駄に変なことするなら、もっと自由に購買処理できるようにすればいいのに、とか思います。ちょっとそれについて今回は述べてみましょう。
市役所が公務でモノを買う手順
ここでは数千円とかの文房具といったモノを購入する事務について述べて行きます。まあ、いわゆる消耗品の範疇に入るモノですね。
ニュースなどで出てくる競争入札とかの場合は、キチンと処理されていると思いました。不正があるとニュースになるだけのことはありますね。官製談合では無い限り、市役所側はキチンとやってると思います。入札する側については、「やっぱ相談してるんだろうなぁ」という感覚は入札金額とか落札者のこれまでの経緯を見ると持ちましたけどね。
では、消耗品についてはどうやって市役所は買うのか?金額によって処理が違ったり、単純になったり複雑になったりしますが、一般的なもので説明しましょう。
なにか文房具を買うとしたら市役所の指定業者登録している文房具屋に商品の見積もり書を貰って、支出負担行為決議書というものを作成します。これは、見積もりの金額を使って上司に買っていいかどうかのの伺いをとるわけです。金額にもよりますが、文房具くらいでは課長の決裁でいいでしょう。金額が高いと出納係のチェックを受けたりすることもあります。
決裁が下りたら、その金額で文房具屋に商品を納品して貰って、請求書と納品書を合わせてもらいます。
納品が完了したら、支出負担行為決議書の処理番号に合わせて支出命令書を作成します。支出命令書には納品日、請求日を記載して、金額の支払いの処理をする訳です。決裁は課長決裁の後に、出納係へ書類が渡り、書類のチェック、予算費目のチェックなどが行われて、問題無ければ銀行の振込処理が行われる訳です。
とまあ、大雑把な流れはこうなのですが…
これは、私の勤めていた市役所では「嘘」です。
どんな疑問の処理をしていたか?
では、どんな処理を実際にしていたのか? 上の流れに沿って説明していきましょう。
市役所の指定業者登録している文房具屋に商品を買う連絡をするところまでは一緒です。すると、在庫があればすぐに商品が納品されます。その時に見積もり書、納品書、請求書も合わせて納められるのです。
上との違いわかりますか?まだ、課長決裁を貰ってないのに商品が届いてるんです。支出負担行為決議書の決裁を受けて購入の許可をもらっていないのに商品が納品され請求もされている訳です。個人が自分の買い物するのならその場で財布から払いますから問題無いですけど、上の事務処理としては変ですよね。
そしてどう処理するのか?
商品は必要ならもうその場で使い始めます。支出負担行為決議書を作りますが、作成するものは上と同じです。ここで見積書に日付を自分で書き込みます。スタンプ印などをつかいますけどね。だいたい支出負担行為決議書を作る日の日付で書き込みます。要するに日付無しの見積書を貰っているのです。勘のいい人は気づいていると思いますが、納品書、請求書も日付欄は空白です。
これで支出負担行為決議書の決裁をとり、モノがあるのに購入許可ということになります。変ですよね。なんのために決議書作ってるんだ?って感じで。これを事務の効率化とでも言うのでしょうか。もちろん手間がかかるからこうやっているのだろうというのはわかるのですが。
そして、支出命令書の作成です。納品書も請求書も来ています。だからすぐ作成できるのですが、ここは1週間くらい間を開けた方がいいことになっています。見積もりとったら検討期間があって、それから発注して後に納品されたというストーリーを作るのです。だから支出命令書は支出負担行為決議書の決裁が下りてから1週間くらい開けて作成し、その作成日に合わせて日付の無い納品書と請求書に日付を自分で記載するのです。
日付の辻褄が重要
これっていいのかな? 普通、そう思いますよね。
これで私が感じたのは、要するに実際の動きがどういう流れになっているかは問題ではなく、書類の処理場の日付の辻褄が合っていれば公務員の事務は問題無いということなんですよね。
モヤモヤしませんか? 別に、不当なお金の流れを作っているとか、裏金を作っている訳では全くありません。業者側もわかってやっていますし、どこにも迷惑をかけたりしていませんし、黒い疑惑に発展するようなモノでもありません。
でも、「何を自分はやってるの?」って思いますよね。
こういう疑問を持たずに、ササッと処理をしてしまうことが公務員には求められているという訳でもあるのですね。
おわりに
公務員の事務処理は書類上の日付の整合性が重要。それに合わせて現実を調整していく。果たして、他の地域の市役所などはどんな流れだったのでしょうか? やはり同じなのかなぁ? それともキッチリ建前上の処理を行っているのかなぁ?
こんなのなら、もっと自由裁量のある経理処理にすればもっと効率化するのにな、とも思います。
でも、地方財政法とかいうものの規定で、財務処理の方法が決められているので、問題ないなら自由に処理するというようなことはできないんでしょうね。
でも、こればっかりはいつも頭の中に「????」が浮かんでいました。
この日付の整合性の話ですが、ニュースなどにある政治のニュースも日付の流れと実際の動きを想像しながら見てみると、「ああ、これは官僚が嘘をついてるな」とか、「これはマスコミが勘違いしてるな」とか想像がつくこともありますよ。