政治ニュースはこう見た 元小役人の囁き

厚労省の勤労統計問題。やっぱりあったプログラミングのミス。

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厚生労働省の勤労統計ミスに関して、厚生労働大臣が報酬の減額など色々と責任をとる発表を行なっていました。

この件について、前の投稿でこんなことを書きました。

政策が変わると、これまでの計算を見直したり、システムを改修したりするので、その時に初めて「あれ?」と思うようなことが発見されたりするのです。

どうも、やっぱりそういう面もあるのだな、という実態もあったようです。

統計プログラミングの検証がなされないまま処理は続く…

今回の毎月勤労統計調査における不適切な事務処理について、厚生労働省が「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書について」として発表しています。

これは、統計の専門家、弁護士等の外部有識者で構成される「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」による調査報告書です。

ここにあるPDFの資料をみると、次のような記述があります。

  •  システム改修の依頼を受けたシステム担当係は外部業者等に委託することなく自前でシステム改修を行うことになるが、毎月勤労統計調査に係るシステムのプログラム言語はCOBOL であり、一般的にシステム担当係で COBOL を扱える者は1人又は2人に過ぎなかった。このため、一般的にシステム改修を行う場合はダブルチェックを行うが、ダブルチェックができない場合も多かった(平成15(2003)年当時は COBOL を扱える者は2人いたが、それぞれが別の仕事を分担して処理していたため、当該者同士でダブルチェックをするようなことはなかった。)。
  •  一度改修されたシステムのプログラムの該当部分は、それに関連するシステム改修がなされない限り、当該部分が適切にプログラミングされているか検証されることはなく、長期にわたりシステムの改修漏れ等が発見されないことがあり得る。

やはりシステム改修で不十分なことがあったようですね。

もちろん、これ以外にも原因はあるのでしょうけど、「やっぱあったな」というのが感想ですね。

プログラミングミスは全国の自治体でもあるはず?

前回の記事でも指摘しましたが、みなさんのお住いの市町村でも、こういったミスはあります。

市民税、固定資産税など、自治体が賦課するものの計算にはどこか間違いがあったりする可能性はあります。

単に職員の数値の入力ミスによる間違いや、基本的な計算時のパラメータの選択などの間違い、プログラミングでの間違い、といいったところでしょうか。

前回の記事でも触れたように、端数のプログラミングの間違いなどもひょっとしたらあるかもしれません。そういった話をしている職員が私の勤めていた自治体にはいましたからね。それをその後どうしたのかわかりません。担当では無いので。

これも、ここの厚労省の報告書にあるCOBOLからの移行が絡んでいました。大規模なシステム改修がありましたので、その移行時にチェックできず、実際に特殊なケースが発生して手で計算してみたところ、コンピューターの処理とは違っていたという流れでした。

どうなったのかなぁ。

行政が悪いのか?システム会社が悪いのか?

私のいた自治体でのシステム上のトラブルは、2つの側面があります。行政側の側面とシステム会社側の側面です。

行政側に関しては、時代でもあるのでしょうが、システム改修となると年配の職員は近寄らないという時代もあったと思います。コンピューターに関しては若い人に押し付けてしまっているようなことが多くありました。若い職員も別にコンピューターの専門家ではありません。それに行政の知識も不足している面もあったりします。そういう未熟な人が必死で残業して取り組んでいたりするんですよね。

やっぱりミスはあると思います。半ば任せっきりになったりするようなこともあるのでは無いでしょうか。

システム会社も問題があったりします。まあ、最大手の業者であれば、制度的な内容をしっかり勉強してシステム開発に生かしているところもあります。市役所の職員よりも制度に詳しい人なんかもいたりするんですよね。こういう担当者と組むことができれば自治体としてもありがたいものです。

でも、本当にプログラミングの動きに関してしか知らない担当者であると大変です。当然処理として知っていて欲しいような行政の流れを、全く知らないシステム会社もあったりするのです。そんな時は逐一指示を出さないといけませんし、きちんと出したつもりでも全く違う処理がなされていたりすることもあります。それに、一度伝えたことを知識としてストックしてくれないこともあったりします。

私も計算処理のシステム導入でこの手の業者とやりとりをすることになって苦労しました。システムのパッケージを購入してカスタマイズするとなると、開発者では無いので、本当に細かいバグを残したまま納品されたりするのです。どうも企業側も担当者が退職(解雇?)して、責任を逃れようとしているような動きもあったりしたんですよね。

本当に行政制度をよく知っているシステム会社に限りますよ、本当に。

市役所からの納付書は必ずチェックしましょう!

市役所から税金の納付書などが届くと思います。確か受け取った日から何日かは異議申し立てができます。

ミスが無いかしっかり見ることをお勧めします。といっても制度がどうなってるのかわかりませんよね。それに通知書も見てもさっぱりわからないということもあるはず。

そんな時は担当部署に電話などして細かく聞いてみることをお勧めします。そこで疑問を解消したり、制度の説明を受けたりすることもできます。また、やりとりの中で、条件によっては申請しなおしなどすることで減額されるようなこともありますからね。

また、システムの間違いなどは遡って還付などがされるはずです。ただ、再計算によって追加で納付しないといけないこともあったりしますけども。

まあ、あまり大声で怒鳴りこむようなクレームで行かないようにしてくださいね。丁寧に疑問を投げかけた方が、細かく見てくれてお得になるようなことを教えてくれる可能性もありますからね。

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