平成30年7月豪雨と名付けられた広範囲にわたる豪雨災害。復興はどんどん進むわけですが、やはり思ったようにきめの細かな対応はなかなか難しい面もあるものです。もうすでに必要の無い支援物資が大量に届いて処理に困ったり、かといって無碍に断ると「せっかくの善意を無駄にするのか!」と批判する人も出てきて、精神的にも参ってしまう公務員もいたりするのですよね。
さて、こういった災害が起きた時に大きな活躍をしているのがボランティア。と思っている人も多いのでは無いでしょうか。
でも、実はそのボランティアというものは、純粋に全国から善意で集まったボランティアというわけでも無いんですよね。
ここでは、私が勤めていた自治体が水害にあった時の経験を述べておきたいと思います。
災害ボランティアに参加している人たち
大きな災害が起こると、瓦礫の撤去や土砂の運び出しに多くの人が必要になります。被災した自治体はボランティアの受け入れを準備が出来次第行うわけで、これはホームページなどで公表されますね。
このボランティアに参加している人はどんな人が多いか知っていますか?
もちろん、一般の人が全国から手弁当で手伝いに来てくれるという人もたくさんいるのは確かですが、多いのは公的機関の動員であるというのが実情だと思います。実際にはボランティアというよりも、当然の役割としてやっているような感じでもありますね。あとはやはり地元の町内会や企業の組合などの共助の側面が強いのではないでしょうか。
災害ボランティアと公務員
では、どんな人が動員されているというのでしょうか? ここは私の経験から述べたいと思います。もちろん、これ以外の一般の人たちが多く参加しているのも確かですが、感覚としてはほとんどが動員でした。
さて、その動員ですが、まずはその被災自治体の公務員です。私が勤めていた自治体が水害にあった時、市役所の職員は交代でボランティアに派遣されました。各部署から交代で数名づつ派遣していましたね。これが業務的にはかなり負担になります。復興対応する必要があるのは当然のことなのですけども、ただ通常の業務も公務員は抱えています。被災地対応に以外にも忙しい思いをしている公務員もいるのです。
時々、被災地の公務員の残業代が高額になってニュースになることがありますが、ここは金額を問題視するのではなく、きちんと制度設計をすべきですね。行政改革とかいう名のもので、人員が削減されている自治体などは、こういう災害があった時にマンパワーが不足するという事態になりかねないということも注意が必要です。
あとは、全国の社会福祉協議会からの職員の被災地への派遣です。私がボランティアに参加した時に一緒に回った人は全員県外の社会福祉協議会に勤めている人でした。上司から「行って来い」ということでやって来ていたようです。
まあ、その役割を持ったのがこういう組織でもあるのですけどね。
実際、地元の人以外に県外の人といったら、社会福祉協議会の人の参加が多いのでは無いかと思います。このあたりは連絡体制も整えやすいから人数が集めやすいということも結果としてあるでしょう。
したがって、純粋なボランティア参加というのは、ニュースなどで見る感覚よりも少ないのでは無いかと感じています。
福祉部局の公務員はさらに大変
公務員がボランティアに順番に駆り出されるのは仕方ない面もありますが、福祉部局は本当に大変です。実際、災害などの仕事というのは通常はまず無いわけですから、一気に業務量が増えます。
ボランティア参加はもちろんですが、復興が進むにつれ、各被災家庭を回って日赤が用意しているお見舞い品を配ったり、合わせて被災状況をまとめたりします。
罹災証明書の発行や、義援金配布の受付、災害時の緊急の補助金や貸付の業務など、はっきり言って他の通常の業務は回らないようなところがあると思います。
私は直接の担当ではなかったのですが、その担当部署の業務を見ていると、多分チェック漏れなどもあtたり、後々の対応が不十分であったり、不公正な部分も出て来たりするのでは無いかと思います。例えば、貸付などは回収できないこともあるのでは無いかと思いますね。いっぺんに大量の対象者が出てくる訳ですから。それに基準を設けても判断は揺れてしまうのが人間ってものですしね。
もうやりたく無いな、という時期であったのが正直な感想です。災害は本当に辛いです。
災害ボランティアは体力が必要
災害のボランティアに参加したことある人ってどんな感想を持つでしょう?
はっきり言って、物凄い体力を必要とすると思った人も多いのでは無いでしょうか? 私は本当にキツい作業だと思いましたね。学生時代はスポーツをやっていたので体力や根性には自信がありましたけど、本当にヘロヘロになります。
こういう水害の土砂って、水分を含んでいるので物凄く重たくなったりしているのです。それに重くなると一気に運び出すことができません。かといって少しづつ運び出すというのもなかなか作業が進まないんですよね。
私は無理をして運ぼうとして膝や腰の関節を痛めたりしました。体力もかなり消耗します。連続しての作業なんて本当に無理です。くじけそうになりますよ、まじで。
今回の災害は、暑さにおいても大変な思いをしていますよね。ボランティアという言葉だけを見ると、とてもスマートな印象を持ちますけど、災害ボランティアに関しては、本当に体力勝負です。自衛隊員になったつもりで過酷な現場へ責任感を持って赴くというのが正解だと思います。
参加する場合はくれぐれも健康に気をつけてください。
最後に
よく、国会などでこうい災害が起こった時に、災害対応に集中して法案審議を辞めろなどと野党が言うことがあります。これはちゃんちゃらおかしな話。だだの法案審議を妨害したい野党側の都合でしかないでしょう。
災害以外にも通常の業務が行政にはあるのです。災害の裏で日常の業務が回っているのです。これは地方だろうと国だろうと同じ。いや、災害に直接対応している市町村自治体の方がまさにその両輪を回すことに必死にやっています。
国会だって、やることは災害だけではありません。必要なことはあらゆることをやればいいのです。目の前のことだけではなく、将来的なこともやらなきゃいけないのが政治家や行政の仕事なのですからね。