元小役人の囁き

地方分権という綺麗事の論議と地方公務員の能力について

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地方分権の議論はここ数年、いやけっこう昔から話題になっていて政治的に重要な問題となっています。

大きな話では橋下徹氏が掲げた大阪都構想でしょう。個人的には大阪都って言い方は好きじゃないです。なんだか発音というか口の収まりが悪いと思います。こういうネーミングって大事なのですけどね。やるなら大阪府のままで機能として第2首都という位置付けでかまわないと思います。

おかしなところでは沖縄独立論ですかね。これは現実を無視した幼稚な政治運動だと思いますので論外です。子どもの頃に秘密基地を作って遊んでたことを思い出しました。そんな程度です。あまりに無法者な行動をしてる人がいるみたいなので、そういうのはさっさと逮捕すべきでしょう。それが出来ない警察は公務員として失格です。

さて、地域にあった行政を行うためには、国の一律の基準では対応できないところがたくさんあるということも分権が重要視されるところでもあります。

公務員の能力の低さが地方分権への疑問

この地方分権については大切なこととだとは思いますが、私には疑問があります。

なぜなら、地方公務員にそれを担う能力があるのかと思うところがあるからです。

簡単な例を挙げましょう。

日本の行政は法律に基づいて仕組みが決められます。法律を作るのは国ですよね。

ある制度の法律ができると、それを実際に施行するには各自治体で法律に合わせた実施条例が作られます。

この条例部分に地方分権は法的に柔軟性がもたらされるのだと思いますが、ここが問題だと思うのです。

それは、市役所レベルの地方自治体には条例をゼロから作り上げる能力が低い側面があると言わざるを得ないのです。

なぜなら、条例というものはほとんと国がすでに作っているからです。

国が作った資料を地方はコピペ運用?

制度が法律できまると、地方には国からモデル条例というものが示されます。このモデル条例の自治体名のところを書き換えただけのものが、地域の条例になっていると言ってもおかしくはありません。

地方は国が作った文言を一部切り貼りして名前を変えて使ってるという側面が多いのです。

だから、分権などといったらそういうところをゼロから作る役割が増えることになります。しかし、これまで国が作ったものを一部改変して運用したいたというその能力には疑問が残るので、分権を主張するのはちょっと危険な面があると思えてしかたがないのです。

もちろん、独自な条例は各地で作られてますから全く無能ということではないですよ。地域振興のために各自治体の公務員の方が頑張っているのも確かですので。

人員は減るが仕事は増える地方自治体

また、分権されるということは、地方の仕事が多くなるということです。

以前は市役所というものはんびりしていてよかったのかもしれませんが、今はいろんな業務が国から都道府県へ、都道府県から市町村へ移っています。それだけ仕事が地方に増えているということですし、また各自治体は財政問題を抱えているところも多いと思うので経費節減のために人件費を抑えようとしています。

地方公務員は退職者を補充するほどには採用人数は増やさないが、仕事はそれだけ増えるという流れになっているのです。

個人的には分権に耐えられるだけのキャパシティーを地方公務員が持っているのか慎重に考えた上での地方分権であってほしいと考えています。

まあ、でも優秀な人がどこかにはいるもので、なんとかなちゃうのかもしれませんけどね。

役割が大きくなってやり甲斐に繋がるか?

地方分権で地方公務員は地域のための主体的に動くことが多くなり、これからはどんどん大変な時期になっていく可能性があります。

ただこれは、志がある公務員志望者にとってはもの凄くやりがいのある分野になるかもしれません。そういう人が本来は公務員になるべきなのでしょう。公務員試験を受験する志望理由が、身分や生活が安定している仕事だからというのは、二の次であって欲しいものです。

それにしても、地方分権をやるなら確実に情報や制度の移行を出来るように、その時点でしっかり連携して欲しいです。結構、公務員って他人に任せて自分は知らんぷりって人もいたりするんですよね。私の周りで感じるだけか? それとも私のことだったか?

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