国も地方も財政赤字を解消だとか、国債発行残高が何兆円になったとかニュースが定期的にでてきます。
ニュースなどで国の借金がどうのこうのって話は資産とのバランスや経済学的にキチンと整理された話とは全く感じらません。財務省の増税の理由探しに使われいるだけの話ですから無視すればいいのです。
ですが、歳入の話の反対側である歳出、つまり財政支出においても国も地方もおかしな構造が実際にあります。
予算策定時にが地方予算膨らむ要因の一つがコレ
ここでは地方の話をしましょう。実際に私が感じたことです。
裏金とか無駄な公共投資とかそういう話題はニュースなどですでにあるわけで、どこも似たり寄ったりなわけですが、では実際にどんな感じで歳出の予算が増えてしまうのでしょうか。
これは、無駄遣いという以前に、予算を策定するときの公務員の質によって膨れ上がるという構造があります。
予算は事業の担当者が基礎的な数字を積み上げて作成するわけですが、その時点ではおそらくそれなりにしっかりした金額の予算が練られている側面があります。現場の人間ですからね、現実に即した数字を普通は弾き出すわけです。
ですが、これが上層部に上がるに従って膨れ上がるんですよね。もちろん財政当局からは切り詰めるように指示がありますが、その手前でかなり恣意的に膨れ上がります。
予算が膨らむアホな流れ
ある事業をするとしましょう。年々費用が増加傾向にあるとするならば、今後の予算はどうするでしょうか? 普通は数学的に妥当な増加率であるとか、統計的に直線回帰を使うなどして今後の予測値から予算計上するのが妥当ですよね。もちろん、その予測値が絶対ではないですが、説明としては理屈があってると納得できます。
これを部長クラスが理屈抜きに変更するんです。
まだ統計的手法で異なる関数を当てはめて急激に増加するような予測値を出すとかいうのであれば、まだ理解は出来ます。しかし、はっきり言って昔の公務員採用は学力など無関係で、そんな分析などできない、つまりは「アホ」な人材もかなり多いところがあるのです。
それだけならまだ構わないのですが、そんな人が世渡りが上手いのか意思決定の場にいたりするので末端の職員は困るのです。
予算は恣意的に膨らむ
実際にどんな恣意的な操作が成されるかというと、単に思いつきです。
「ここは、もっと増えると思うんだ」という鶴の一声で、しかも直線回帰なんぞまったく理解もしていない状況で数字を変更するのです。
例えば、「高齢化社会になるのだがら、もっと増えるだろ!」とか、「子育て世代を支援するのだから、もっと利用者は増えるだろ!」と、政策的にもっともなことをいうのですが、その数字の変更に根拠はなかったりするのです。
もちろん変更すること自体は、事業を重要視するかどうかという側面もあるので必要なこともあるでしょう。しかし、まったく根拠のない数字を持ってきて、それを今度は担当者がどうにかして理屈を説明できるような話をでっち上げるわけです。
減らした予算を増やされた私の経験
私も何度か経験しました。
住民と直接関わっている中で、このサービスは実質的には利用者も少なく効果はあまりなくて不要だな、他のサービスの利用に予算を回したほうがいいな、と考えて予算数字を抑えることにしました。当時の財政的な方針としても一定の率を削減しようというものもありましたので、そう試算したのです。
ですが、上司はそうしませんでした。
しかも前年と同じ予算の数字ならまだわかるのですが、さらに増額要求したのです。市民のニーズが高いという理由なのですが、実は市民はよくわからずに無料だからとか言う理由で意味もなく申し込んだりしてるわけで、担当者からは無駄にしか見えません。しかも市会議員が選挙の票集め目的なのか、何かの世話をしてやりたいという理由で、担当者から見れば「必要ないだろう」という人にまでいろんなサービスを手配して回してやろうと動いたりするのです。
上司もこういう議員の顔色を伺っているわけなので、結果、予算が膨らんでしまいます。
国の方針転換が地方財政を直撃する
しかもそれが国の補助金をもらっているような事業だったりすると大変です。国は方針の転換でいきなり補助事業の補助金をカットしたりするんですよ。
でも地方としてはサービスを低下させることはできないから、事業をすぐにはやめることができない。まあ、やめたらいいとも思うのですが、行政サービス低下を批判されたく無いから続けてしまうのです。
でも国からの補助金はカットされていますから、その分は地方が負担することになり、結果歳出が増えるというパターンもあったりするんですね。私が担当していた事業では1000万円の予算の事業が、この流れの中で次の年にいきなり3000万円になってしまったものもあったりしました。
こういうことの積み重ねで歳出が膨らんでいたりするんですよね。予算の無駄遣いも、世間で言われていることとは違った側面もあるんです。
事なかれ主義の公務員も要因?
もちろん、こういうことを考えない頭の悪い上司ばかりではありません。議員ときちんと対峙して断るところは断る公務員もいます。そういう部署では仕事はやりやすいですのですが、必ずそういう部署で働けるわけでもありません。
ただ、もうそろそろそういう能力の無い世代の年配公務員は退職して居なくなる時期だと思いますので、これからの状況は変わってくるかもしれませんけどね。
でも、本当に変わった公務員は多いですよ。
新人研修の時に、講師役の先輩公務員が「社会人になったら朝の挨拶はお互いにきちんとしよう」というような話をしました。まあ、社会人として当然のことなのですが、その先輩公務員はまったくあいさつしない人だったんですよね。もうなんなのよこの世界、って感じでした。
まあ、私も変わった公務員でもあったのですけどね。